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【書評】ワタミの失敗

 
タイトル:ワタミの失敗 「善意の会社」がブラック企業と呼ばれた構造
著者:新田 龍
 
【まとめ】
この本を読んだのは私が2006年から2010年までアルバイトをしていたからというのもある。2008年に入社したばかりの女性社員が過労死自殺した時期ともろにかぶっているのである。その時の現状を知っている私からすると、この本の主張は現場を見ていないと思う。これがルポではないからだと思う。しかし、ワタミに関しては第1章の一部のみがメインで、大きな題材はブラック企業の実態に関してなので、その意味では十分に良書だと思う。
 
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以下は読書メモに近いものです。
 
従業員に対して、上司とのカウンセリング機会、年1回の健康診断、時間外労働が過多の場合は産業医との面談の機会などが用意されている。
 
これは上場企業としては当たり前なのでは・・・。まず時間外労働をしていた従業員が大半だったはずなので、それを全て産業医さんがさばけていたとは到底思えない。なので、産業医面談はしていなかったのでは?(だって閉店後に読書感想文書かせていてその時間は給料発生しないんだぞ。そしてほぼ平日5日以上は店に出ていて、会社での会議に出ているんだから、完全週休2日制度では絶対なかった。)
 
分かっていながら法律違反
サービス残業を強制
・有給休暇をとらせない
 
待遇が悪い
・昇給しない
・ペナルティ的な罰金制度がある
・経費や備品が自腹
 
労働環境が悪い
長時間労働、残業がずっと続く
・厳しノルマを無理やりやらせる
・従業員の行動監視、密航奨励

 

↑にあげたのはワタミ引っ掛かっていた。具体例をあげたらきりがないけど、「厳しいノルマ」に関してはエリアマネージャから相当な指導が入っていたし、「経費や備品」ではないけどその日に売れ残った廃棄しないといけない食材をアルバイトも含め、自腹購入させてたぞ(手伝いに行った店舗でもやっていた)

あとはその自腹行為なんだけど、私の今の会社も前の会社もあるので何とも言えない。というか私が自ら買ってしまうというのおあるのだけど。アマゾン・アスクル・モノタロウは駆使してます。
 
現在、労基署に持ち込まれる相談案件の数が多すぎ、実質的にさばき切れていない状態なのである。
 
そうでしょうね。私、労基署にパワハラ告発しに行きましたから。
まあ予想はしていましたが、パワハラの証拠になるものがないと難しいと言われました。
言われた発言リストは30件くらい持って行ったのですが、誰から・日にち・時刻等が明確じゃないと受け付けてくれないそうです。
でも「お願いですから電話をして指導勧告くらいはしてください」と懇願しました。
 
労基署から指導を受けたとしても、開き直る経営者がいるかもしれないが、そういった違法状態放置企業に対する処遇も厳しくなっている。先ほど述べたように労働基準監督局は東京と大阪に「過重労働撲滅特別対策班」を設置し、過重労働が常態化している企業に対して書類送検も辞さない構えで臨んでいるし、2016年に入ってからはこれまで異例とされてきた労働基準監督官による経営者逮捕も行われている。
 
この本は過重労働をさせている”企業”に対することを書かれているので、頷けるんだけど、社員としては過重労働をさせている上司やその上の上司を何とかしてほしい。それで私腹を肥やしている人たちがいるのが悔しい。前の会社の上司は私に過剰な量の仕事を与えて疲弊させながら、「お前を監視するために俺も残業しているんだぞ」と言い放ってきましたからね。しかもゲームしながら。
 
会社という「同質化したコミュニティ」の正体だ。よく言えば、「一体感のある社風」だが、言い方を変えれば、それが会社組織なら「ブラック」、教育機関なら「スパルタ」、宗教法人なら「カルト」などと言われることになるのだ。
 
この本ではワタミはそうではないと言っているけど、私からはどう見ても「カルト」だった。渡邉美樹という教祖に信仰しているわけではなかったかもしれない。でも渡邉美樹が掲げた経営理念に信じていたのだと思う。キリスト教で言えば聖書なのかな。
 
スティーブ・ジョブズは異様なまでに偏執的で、従業員を極限まで追い込んで製品を開発させていた。
アマゾン創業者のジェフ・べぞスも従業員に対して「想像を絶する重圧の中で仕事を強いる」「精神的及び身体的疾病を招きかねない」と批判もあった。
テスラ・モーターズのCEOイーロン・マスは「超多忙であれ」「週100時間働け」「リスクを負え」と檄を飛ばしている。

 

新しいものを作る・生み出す会社ってやっぱりそういうものなのかなとも思いつつ。おそらく創業当初は同じ理念を持った人たちと一緒に会社を立ち上げるのだから、多少無理を言っても仕事をこなしていくのだと思う。でもそれが拡大したにもかかわらず、それを理解してかしてないかはわからないが、同じように働くことを強いてしまうのかもしれない。